今回はわずか5日間ながら、少数民族の住む小さな村落を3箇所訪ねた。一軒は、手伝いをしたジョニーさんの実家、あと二軒は、土地問題で政府ともめている村落。
政府が、彼らの土地を、勝手にパームオイルプランテーション会社に売ろうとしている。
実際に現場にはいけなかったが、一箇所では、ちょうど、森がプランテーション会社によって無断で伐採されてしまったところだった。
バイオディーゼルの燃料として注目されるパームオイル。
植物が由来のために、環境に優しくオイル(石油)とはまったく性質が違うように感じる。
しかし、石油の代わりとして車などの燃料として使えるということは、石油と同じ価値があるということ。
つまり、ある意味で、パームオイルは石油と同じになる。
そして、パームオイルはバイオディーゼルのなかでも、もっとも生産効率がよい。
そこで、今世界で置きえいるような石油を取り巻き繰り広げられる国や人のおこないと同じようなことがパームオイルにも起きている。
そして、熱帯地方でしか育たないために、熱帯の国々での開発が特に進んでいる。
そこで、マレーシア政府はパームオイルプランテーションの開発を凄い勢いで進めている。
世界において、石油に変わる未来の主要エネルギーになる可能性のあるパームオイル市場を自分たちの手に収めることが、国の未来にとって大きな意味を持っている。
その中で、先住民族の人権や、熱帯雨林の保護など、どうでもよい。
それが政府の本音だろう。
自分たちの国にとって、もっと豊かになるチャンスが目の前にある。
ひたすらに、森を切り開き、人々を蹴散らし、パームを植え、オイルを作ればよい。
その気持ちも分からなくはない。
どこか、マレーシア政府を責めればよいような問題ではないように思う。
世界を覆う資本主義のシステム、そのシステムが必要とする拡大と開発(破壊)。
このままだと、地球の隅々まで開発(破壊)は進み、開発(破壊)するところは、この地球にどこにもなくなってしまう。
話しを今回の手伝いの話にもどそう、
そんな開発に襲われた今回訪れた集落の人々は、自分たちの住んでいた家を開発のために追われることになった。
しかし、新しい家を建てるのに必要な材料はもう森にはなく、街で資材を買うお金もなく、今は、なんとかしてかき集めた資材で作った仮の家に住んでいる。
さらには、パームプランテーションに囲われた場所に住んでいるために、大量に使われる農薬や、流れ出た土で、川は汚れ、飲み水は雨水に頼るしかなく、政府は、水道管をひいてくれるわけもなく、劣悪な環境での生活を強いられている。
その日は、自分も、彼らと同じようにその汚く淀んだ川で感単に水を浴びることに、そして、大勢で食べる楽しい夕食に呼ばれ、その仮の住まいで一つの家族と一緒に寝ることになった。
酷い状況の中でも、いくつかの家族がしっかりと繋がり、助け合い、笑いあい、叱りあい、楽しく暮らしている。
多くの人と繋がり、分かちあっていること、そのことが彼の大きな救いであり、生きることの喜びになっているように感じた。
物に囲まれ快適ではあるけど、孤独に暮らしている先進諸国の人々といったいどちらが幸せなんだろう?
開発で豊かに幸せになったつもりの先進諸国の人々も、もしかしたら、開発によって不幸せになったのかもしれない?
道路の両脇を埋めるパーム椰子畑
GPSとパソコンの地図を使った土地の管理の仕方を教える。